ミノーイングに“ドリフトフック”を選ぶ理由
北海道6–7月、そしてNew Zealand南島10月開幕。
初めまして、トラウトプロアングラーの福山です。
今シーズン、6月から7月にかけて北海道の初夏の渓流、そして10月にはニュージーランド南島を釣行しました。その南半球では日本と季節が逆になるため、ちょうど日本でいえば春の解禁直後にあたる時期。山にはまだ雪が残り、雪代の影響を受ける川もあれば、湖を絡めた安定した水系、標高の低いクリアな川もある。そうした中から、その時期に最もバランスよく狙えるフィールドを慎重に選びました。今回のテーマはフック ── 中でもミノーイングにおけるドリフトフックの使いこなしについてです。

私の釣りのスタイルは、小型ミノー(およそ4〜5cm)を使い、渓流ベイトフィネスまたは5〜6フィートクラスのスピニングロッドで、ピンポイントにキャストしてトラウトの鼻先にルアーを送り込む繊細な釣りです。湖、本流での遠投とは違い、渓流の狭い流れの中で、鱒が定位するわずかなスポットを狙い撃つ ── そんな精密な釣りを好んでいます。
北海道、そして今回のニュージーランドでも、ターゲットは主にレインボートラウトとブラウントラウト。流れと層の表情を読み、1投ごとに「ここに鱒がいる」と推測と経験を信じで投げる、その瞬間の集中が何よりの魅力です。
私は日本国内でサクラマスやヤマメを狙うときにはトレブルフックを使うこともありますが、海外釣行ではほぼシングルフックを選びます。まず多くの国や地域でトレブルの使用が制限されていること。そして、シングルの方が鱒へのダメージを抑えられ、大型鱒に対しても掛かった後のバラシもシングルは少ないからです。トレブルは針数が多いぶんフッキング率は勿論上がりますが、他の針がルアーや岩、鱒の頬など身体に接触して外れたり、暴れる鱒の動きで身切れを起こしたりすることもあります。その点シングルは、掛かれば外れにくく、フッ素加工やマイクロバーブによって初期掛かりと保持力のバランスが非常に良い。特にキャッチ&リリースを前提にする海外のトラウトフィールドでは、シングルの選択が必然になります。

ヴァンフック“ドリフトフック”とは何か : ミノーイングへの優位性、“アクション同調性”という決定打
今回の釣行では、ヴァンフックのドリフトフックDRS-60Fプロトサンプル#1, #2, #4(スイムフック)を中心に使用しました。このフックの最大の特徴は、ミノーのアクションを損なわずにナチュラルな泳ぎを引き出せることです。フックの重さ、線径、ループアイのリリアン形状、そのすべてがミノーの動きに“同調”するよう設計されているため、水中でのルアーの生命感をそのまま保つことができます。小型ミノーを使う繊細な釣りでは、この“アクションの繊細な自然さ”が釣果を大きく左右します。マジなんです!!ドリフトフックはその点で抜群に優れており、4〜5cmクラスの小さなミノーでも、水中での姿勢や揺らぎを崩すことなく、狙ったラインをきれいにトレースできるのです。
*PS:ドリフトフックのループアイには、いわゆる“リリアン素材形状”が採用されています。この形状が本当に優秀で、長く使い込んでも“モサモサ”しにくく、スプリットリングとの接続部分が絡んだり劣化して切れやすくなったりする心配がほとんどありません。耐久性が非常に高く、交換の際にもスムーズに扱える。細部のパーツひとつにも、実釣を重ねた末の設計意図と機能美を感じます。
さらに、フッ素コーティングによる滑らかな貫通性と、マイクロバーブ設計による鱒へのダメージ軽減も大きな魅力です。ほんの軽いテンションでもスッと刺さり、掛かってからはしっかりと保持する。それでいて、リリース時には魚体を傷つけにくい。シビアな状況ほど、この違いが釣果に直結します。北海道でもニュージーランドでも、このフックの恩恵を何度も実感しました。

また、今回の釣行では太軸モデルも試しました。サイズ#2〜#4クラスの太軸フックは、小型ミノーを使いながらも大型トラウトを相手にする私のスタイルにぴったりです。太軸でもルアーアクションを殺さず、強度としなやかさを兼ね備えている点がヴァンフックの真骨頂。実際、ニュージーランドの速い流れの中でフッキングしたレインボーやブラウンも、安心して寄せることができました。軽量ルアーと太軸フックの組み合わせは一見相反するようですが、のドリフトフックはそのギャップを完全に埋めてくれます。
フィールドを問わず、こうしたセッティングは共通しています。北海道のレインボー、ブラウン、雨鱒、大岩魚、サクラマス、本州の岐阜・高原川や宮川、長野の犀川、群馬県(冬季)の利根エリア、近年では東北等、そして海外のニュージーランドや北米ロッキー ── どの場所でも共通して求められるのは、ミノーの動きを最大限に生かす“自然さ”と、フッキングした後の“信頼性”です。ドリフトフックはその両方を満たす存在であり、僕の釣りには欠かせないパーツチューンのひとつになっています。

ミノーの命をそのままに、水中での生命感を伝え、鱒の命にも配慮する。そんなフックこそが、これからのトラウトフィッシングに必要な存在だと思います。北海道の渓流で、そしてニュージーランドの広大な自然の中で、私は改めて“動きを殺さない繊細なフック”の力を感じました。小さな針ひとつが、釣りの精度も、鱒との距離も、そして自然との向き合い方までも変えてくれる。ヴァンフックのドリフトフックは、そんな大切なことを思い出させてくれるフックです。これからも、僕のトラウトフィッシングには欠かせない相棒として使い続けていきます!!
プロフィール
Pro Angler
福山 正和_Masakazu Fukuyama
VANFOOK フィールドスタッフ
1999~2000年、JSBAハーフパイプ中部地区大会・全日本選手権でダブル優勝。2001年には東京ドームで開催された国際大会X-TRAIL JAM に招待出場し、ビッグエア2位などの成績を残す。NIKEやDC SHOE CO. USA など複数ブランドと契約し、トップスノーボーダーとして活動。その後、ファッション誌モデルとしても活躍し、独学で洋服づくりを学び、自身のブランド“ MofM ”を設立。現在の創作活動の基礎を築く。
2016年4月、釣具メーカー と正式プロ契約を結び、渓流プロアングラーとして活動を開始。群馬を拠点に、北海道、日本各地、ニュージーランド、カナダ、北米など国内外の渓流を舞台に、トラウトと向き合う釣りを続けている。自然の流れや季節の変化を感じ取りながら、鱒とのやり取りを通して「自然と調和する釣り」を大切にしている。キャッチ&リリースの実践やフィールドで得た気づきを発信し、釣りの楽しさと奥深さを伝えている。現在は Director として、ブランド活動やギア開発、映像制作などにも関わりながら、釣りを通じて人と自然をつなぐ表現を続けている。
Instagram
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