秋の屈斜路湖──ヒメマスを“浮かせで”食わせる、フックの力
10月、北海道・屈斜路湖。
紅葉に包まれた湖岸には、絶景で静かな気配が漂います。
ここには、特別な季節と特別な鱒──陸封化されたKokanee (姫鱒)がいる。
この時期の屈斜路湖では、産卵を控えたヒメマスが岸際の浅瀬(シャロー)へと集まる。
私は可能な限り湖に立ち込まず、岸からアプローチするスタイルを徹底するようになった。
理由はひとつ。“産卵床を踏み荒らさないため”です。
フィッシングのゲーム性も楽しみつつローカルルールも守り、美しい自然と命の循環を守る意識もトラウトアングラーに求められる大切な姿勢だとも思います。

クランク×シングルフック──「浮上」で食わせるメソッド
この日、使用したのは小型クランクベイト。
湖の姫鱒に有効な「浮上型クランク」のストップ&ゴーを軸に、浅いレンジを丁寧に探る。
動きを止めた瞬間に“ぷかぷかと浮いてくる”このレンジコントロールが、姫鱒の捕食スイッチを入れる。
この釣りで最も重要なのは、ルアー本来の浮力とアクションを損なわずに、いかに自然に見せるか──。
その答えのひとつが、フックセッティングです。

Belly Hook : DRS-50F
ドリフトフック
ベリー(腹側)には、ドリフトフック DRS-50F #6を使用。
このフックは、細軸設計とループアイ形状によって、クランクのアクションと完全に同調します。
強度も兼ね備えつつ、ミノーやクランクの“生命感”を失わせないのが最大の特徴!
特にこのような小型クランクでは、わずかなフック重量でも浮力バランスが崩れやすい。
しかしドリフトフックはその点で圧倒的に優れており、浮上姿勢や揺らぎを崩さずに、理想的なスイム姿勢を維持してくれる。
また、リリアン形状のアイはスプリットリングとの干渉がナチュラル! & 摩耗や劣化も問題なく、
耐久性も高い。
フッ素コーティングによる滑らかな貫通性、そしてマイクロバーブ設計によって、軽いテンションでもスッと刺さり、掛かった後はしっかりと保持する。
キャッチ&リリースが前提となる屈斜路湖では、この“刺さりと保持の両立”が非常に重要です。
この時期の姫鱒のバイトは非常に繊細、またダメージを最小限に抑えながら、確実に掛けていく。
この性能が、秋の屈斜路湖で真価を発揮します。
Tail Hook : SPB-41F
スプーンエキスパートフック・マイクロバーブ
“追従性と保持力のバランス”
テール側には、SPB-41F #6をセレクト。
スプーン専用として開発されたこのフックは、実は小型クランクにも抜群の相性を見せる。
特にリトリーブ中、ルアーのテールを追従する姫鱒が軽く触れるような“ついばみバイト”に対しても、
しなやかに追従し、わずかなテンションで掛けてくれる。
バーブは極小設計で、キャッチ後も魚体へのダメージを最小限に。
水中での抵抗も少なく、リトリーブ時のスイム姿勢を乱さない。
この「軽さ」「追従性」「保持力」の3要素を高次元で両立している点は、屈斜路湖の姫鱒のようなセンシティブなターゲットにこそ強く感じられます。

フックがつくる「自然への配慮」と「釣果の両立」
屈斜路湖に生息するヒメマスは、自然繁殖によって命をつないでいる。
これは、今の日本では非常に貴重なケースです。
人が自然に介入しすぎず、命の循環が守られているこの湖は、
まさに“奇跡のフィールド”だと感じています。
私はこの場所で釣りをするとき、
・ 出来るだけ立ち込まない
・ 産卵床を踏まない
・ シングルフックを使う
・ キャッチ&リリース
──この4つを常に意識するようにしています。
ドリフトフックとスプーンエキスパートフックの組み合わせは、
そうした配慮と実釣性能の両立を実現するための理想的な選択、
高いフッキング性能とダメージレスな設計。
この“釣るため”と“守るため”のバランスを取れるフックこそ、
これからのトラウトフィッシングには特に必要です。

終わりに。
10数年前、私が北海道で初めてトラウトを釣り上げたのも、ここ屈斜路湖の姫鱒。
そこから世界各地を旅し、多くのフィールドに立ってきたが、
ここ地の自然の素晴らしさと鱒が教えてくれる“原点”のような感覚は、今も変わらない。
ヴァンフックのフックは、単なる釣具ではなく、
自然と魚に敬意を払いながら釣りを成立させるための道具です。
アクションを損なわず、確実に掛け、優しくリリースする、そのひとつひとつの要素が、
屈斜路湖というフィールドで生きている。
秋の屈斜路湖。
水中で“ぷかぷか”と浮かぶクランクの背後に、小さな秋の赤鱗がきらめく。
フックが生み出す奇跡とその自然を私はこれからも大切にしていきたいです。
Location : Hokkaido Kusharo Lake_屈斜路湖 October, 2025




